【読書感想】スマホ脳

スマホ脳 books

ベストセラーで話題になっている本書。現代人に欠かせないスマホが脳に与える影響について、人間が狩猟採集民族だった頃から持つ生物的特性を元にわかりやすく説明している。

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読む目的

  • スマホの代替としてオススメのものは何か?

アナログな紙とペン?本による読書?代わりに何を持ってして現代社会を生きて行けばいいのか?

  • 一般論として現代社会ではスマホなしでは生きていけないので、うまい付き合い方はあるか
  • 自分としてはスマホアプリ開発を生業としているので、その見地からどういうスマホへの関わり方ができそうか。アプリとしてどのようにスマホ脳を利用して仕事ができそうか

1章

人類誕生から今までの時間を1万個の2ページに渡る点で表した時、インターネットやスマホが当たり前の時代になった現代はそのうちのわずか1個で表される。そこから人類の歴史の大部分はスマホが無かった時代であり、現代の文明の発展について人間が追いついていない、適用できるように進化しきれていないことを説明している。

人類は本能的に餓死に備えてカロリーをたくわえようとする。身の危険を第一に考えネガティブな情報への感度が高い。など長い時間をかけて、生き延びて子孫を残すために優先されてきた能力が現代の人類にも残っている。

その能力が急速に発達した豊かな現代環境においても発揮されるため、不都合が起こってしまう場合があることを説明している。

  • 満腹であるのにもかかわらず、カロリー高いおやつを食べようとする
  • 注意力散漫と言われ、周りから浮いてしまう
  • 常に心配事があり、不安症やうつ病になる

など

感情もこれらの能力と同じ生存のために人類が持っている能力。いろいろな決断をする時に、情報を収集して最終的にどうするのかを判断するのが感情の役割。生き延びるためには危険な状況をさけることが大優先になるので、ポジティブは感情よりネガティブな感情のほうが優位に働く。その負の感情を生み出すのがストレス。

1章の感想

肥満とか不安症の原因としては、人類が長い間かけて獲得してきた生き延びるための性質によると理解していれば、現代に生きている自分達は少し生きやすくなるのかなと思った。

その中で人類の歴史を表した1万個の点のうち自分が生きているのは1個の点にも満たないと意識して、その性質が優位に働いていた環境とはだいぶ違ってきていることを意識する。

人間にはそういう本能、性質(俗に言う第1システム)があると意識して、それを制御できる第2システムを働かせることを意識することで生活が少しは楽になるのかもと思った。

例)さっき昼ごはんをあれだけ食べたのに、まだお菓子やアイスを食べたい時にこれは餓死する時のための本能で、なるべくカロリーを蓄えておこうとしているなと。でも自分が生きている現代の環境(少なくとも日本)ではたぶん餓死する前に食べ物に困ることは無いだろうと。

そう思う反面、これらの第1システムを優位に働かせて日々の生活を生きていかなければいけない環境に置かれている人達もいることは忘れてはいけない。貧困、難民、抗争、虐待、ネガティブな感情を働かせて生きていかなければならない環境も存在するし、自分がこの先そういう環境に置かれないとも限らない。

2章

不安・うつは人類の歴史の中で生存に有利に働くよう獲得したものでちゃんとした役目があるということを説明している章

ストレスは本来生きるか死ぬかの極限状態で集中力を高めるために発揮されるためのもので、短時間で集中して仕事する際には必要でポジティブな面がある。一方で、現代社会でさらされる長時間のストレスの状態に適応するように人類は進化してきていない。

短時間に一気に集中して能力を高めるため、その間の睡眠や食事などの行動が後回しにされる。これら生きるために必要な行動が後回しにされる状態が長く続き、心身に不調が起こっている状態というのが現代社会においてストレスが与える悪影響だという。

緻密な思考や十分に時間を取った熟考ができなくなり、イライラしたり周囲に気を配る余裕がなくなるという。記憶もあいまいになる。

ストレスがかかった状態は良くないので、その状態から逃げるように脳は感情に働きかける。気分を落ち込ませ引きこもらせるうつの症状を引き起こす。

免疫を活性化させる遺伝子とうつのリスクを高める遺伝子につながりがあることがわかっているらしい。

この遺伝子は感染症や怪我、ストレスにさらされる危険性がある状態から遠ざける役割があるらしい。ストレスから逃げさせる役割、つまりうつにさせることで、その危険な状態を回避させる。

ではこの遺伝子を取り除くと、ストレス耐性に強いうつになりにくいマウスの個体ができるそうだが、人類の進化の過程ではこの遺伝子は自然選択で淘汰された結果でも取り除かれていない。それはこの遺伝子が生存に有利に働く場合があるからということ。

不安・恐怖・うつは人間にとって有利に働く特性であるという理解をベースに次の章でオンラインの現代社会においてこれらの特性がどのように影響を与えるのか説明される

2章の感想

うつで何もわからず苦しむよりは生存に必要なためにちゃんと脳が守ってくれていると意識できれば少しは気分が和らぐだろうか。

生存に有利に働くはずの防御機能が現代社会では逆に人類を苦しめているのは、なんとも皮肉だと思う。

3章

脳内物質が我々に与えるどのような性質を利用して、スマホ(SNSやメール)が我々を夢中にさせているかを説明した章

話題の中心となるのは ドーパミン と脳内物質だ。

ドーパミンは我々を行動させる欲求に駆り立てる役目があるということ。報酬としての役割もあるらしいがこれにはエンドルフィンという脳内物質が関連しているらしい。これら脳内物質の性質をたくみに利用して我々の脳をハッキングさせることができるらしい。

ドーパミンは何かの行動を与えるきっかけを引き起こす。生きるために必要な天候や、ライオンや鹿の活動時期などそれらの情報を得る際に活発に放出される脳内物質だということ。これらの情報は 新しい ものほど重要で、かつ 不確かさ により、多くのドーパミンを放出させるという。

スマホは通知で新しい情報を伝え、SNSのいいねがつくかつかないかの不確かさによりドーパミンを放出させ、我々を夢中にさせている。

これらを開発したIT業界では、こうした脳内物質の働きを研究し、専門家を雇い、これらの特性をうまく利用して製品開発しているということ。

このように我々の脳内で放出されるドーパミンの特性を利用したスマホやSNSは、良いか悪いかは別として、これが無いと生きていけないという依存状態におちいらせている。

IT業界トップの人達は自分の子供にはスマホやタブレットは与えないという。この章ではそのはっきりした理由は述べられておらず、スマホが与える悪影響とともに次章以降で述べられるのだと思う。

3章の感想

最近のiPhoneやAndroidではスクリーンタイムというどのくらいスマホを使っていてどのアプリを何時間使ったかをグラフで可視化してくれる機能もついている。これらはスマホへの依存への救いの機能のように感じるが、開発元もスマホの中毒性を知っている一方で、インパクトのある製品を生み出したいというジレンマを持っていた中で、ようやくユーザーにもシェアしなければならないと決断したのかもしれない。

4章

マルチタスクに焦点を当てて、いかにスマホが我々の集中力を散漫にさせているか説明している章

この章から確信にせまってきた感がある。

複数のことを同時にこなすことはできない。実際には一度に一つのことにしか集中できないため、脳はひんぱんに集中することを切り替えている。

脳はもともと、複数のことに注意を向ける特性がある。祖先は自分や仲間を守るため、注意を分散させより多くの情報を常に手に入れる必要があったため。人間の脳はこのマルチタスクの状態に、慣れたり鍛えられたりするようにはなっておらず、むしろその逆で気を散らすものが多いほど注意力が散漫になる。スマホに脳は適応するのかは第9章で説明されている。

スマホはさらに、サイレントモードにしてポケットに入れているだけでもその存在だけで注意を散漫にさせるそうだ。

手書きのノートやメモはPCに勝る説明もされている。理由としては、手書きではメモやノートを取る内容を自分で 吟味して処理してから書いている からというもの。PCでは早くタイプできてしまい、重要か重要でないかは考えずにメモしてしまうかららしい。手書きではいったん脳内で処理する過程が入るため記憶として定着しやすいらしい。

記憶として定着させるには集中が必要で、スマホによって邪魔が入る状態では、長期記憶として定着しない。記憶することに集中しなおすには 切替時間 が必要。

グーグル効果

情報そのものを記憶するのではなく、その場所を覚えておくこと。脳はエネルギーを節約するように働くためより少ない情報量ですまそうとする。膨大が記憶を保存しようとするのではなくその記憶の場所を覚えておこうとする。

写真を撮ったことに安心してしまい、その場所のことをよく覚えていないのはこの効果が影響しているらしい。写真に撮ったのだから記憶には保存しなくていいやとなるわけだ。

本当の意味での知識とは、その人の個人体験に融合されてよく熟考されたその人なりのオリジナリティがあるものだということ。本当の意味で何かを深く学ぶためには、集中と熟考 の両方が求められる。ネットサーフィンをしているだけでは、その情報を消化するこれらの過程が与えられない。

スマホが目の前にあるだけで、周囲に無関心になってしまう。実際にはスマホを使用していないが、テーブルの上にあり視界に入るだけで、会話が楽しく感じられなかったり、相手に共感されなかったりするらしい。注目すべきはスマホの存在を無視しようと能動的に脳が働きかけることだ。常にドーパミンの放出を促してくれるスマホの存在を意識して無視しなければ、周囲に関心を向けられなくなる。そのために貴重な集中力が使われることになる。

4章の感想

マルチタスクはちょうどコンピュータのCPUが複数のプロセスにディスパッチして処理を切り替えている仕組みと同じだと思った。

当然切り替える際に、オーバヘッド(切替時間)が生じて処理は遅くなる気がする。

人間の脳がマルチタスクできるように進化してきていないのかと疑問を持ったが、1章で出てきた1万個の点のうち、現代社会はわずか1個の点なので、スマホに適した脳に進化するのは、これまた長い年月がかかるのではないかと思った。

グーグル効果については、その効果を利用して保存した場所だけ覚えておいて後から適宜、情報を引き出して来られればOKな場合もある気がする。一方で、人生において大切なことは自分の中に長期記憶として確実に定着させたいものもある。要はケースバイケースの取捨選択が重要なのでは。

スマホがあるだけで周りへの関心が薄れてしまうのは日常で気をつけたい。無意識にスマホをテーブルの上に置いてしまっているが、それで一緒にいる人へ関心が向かないのはとても失礼だし、その一緒にいる時間がもったいないと思った。関心を向けようとすると能動的にスマホの存在を無視しなければいけないということ。この能動的な程度はいかに日頃スマホに依存しているかによるのだと思う。常日頃スマホに依存しないように意識して生活していないといけない。これもまた関心を他の大事なことに向けられなくなることになりそうだが。

スマホ依存にならないための対策としては、

  • 無駄な通知はOFFにするか、目立たないモードに切り替える
  • 不必要なアプリは消す
  • なんでもかんでもアプリをインストールしない
    • メモアプリとかでメモとるのはいいけど、紙で代替できればそうする。
  • 時計をつける
    • 時間を確認するためにスマホを見ないでいいように

などができると思う。なるべく重要でないものは目に入らないように断捨離する。そうすることで本当に重要なことに目が向けられると思う。

5章

主に睡眠に関してスマホが与える悪影響を説明した章

スマホが無くなっただけで、ストレスレベルが増加する。スマホに依存している人ほど顕著で不安が大きくなるという。

理由は脳がドーパミンの供給がなくなると感じるからで、それを供給してくれるものがなくなることで強いストレスが現れるということ。

睡眠時間が減っていることと、睡眠はなぜ重要なのかを説明している。

睡眠は

  • 情緒を安定させる
  • 短期記憶を長期記憶に定着させる (固定化)
  • 脳の掃除をする
    • 壊れたタンパク質を除去する。睡眠不足により脳卒中、認知症のリスクが高まる。

寝る前にストレスを受けると寝付きが悪くなるのは、狩猟生活で睡眠中というのは危険のため、周囲が安全なことを確認してからでないと睡眠を取れなかったことによるという。

ブルーライトは睡眠を導入するメラトニンの合成を阻害する。ブルーライトは食欲を増進させるグレニンというホルモンの合成を促進させるらしい。

食欲増進だけでなく、脂肪を蓄える効果もあるため、肥満にもつながってしまう。

電子書籍も紙の本に比べると入眠を遅らせるらしい。スクリーンがスマホを連想させるのも理由にありそうだという。

ブルーライトの影響は人によってはほとんど影響を受けない人もいるらしい。一方でスマホが寝る一時間前に目に入っただけでも眠れなくなる人もいるという。

5章の感想

この章はブルーライトが睡眠にはよくないということで、前から言われていたことの復習のように感じた。

睡眠はいかに重要かということ。寝る前のブルーライトはダイエットにも天敵だということは初耳だったので新しく知れてよかった。

寝る前のブルーライト、スマホの影響は人によって大小ありとのことだが、これはスマホへの依存度合いに関係するのかと思った。

つまり寝る前の注意だけでなく、とにかく日頃からスマホへの依存度を下げていく必要がありそう。

6章

人間はいかに嫉妬深く、他人のことが気になるかという特性を持っていて、フェイスブックはじめSNSがそれをどのように巧みに利用して人々の注意を集めているのか説明する章

みんな悪い噂が好きということ。誰に気をつけていれば自分の身は守れるという昔からの性質。

一方で自分のことも話したい欲求がある。報酬中枢が刺激されるようになっており、周囲の反応から自分の行動を改善することができるため。

現実に人と会うよりSNS上だと多くの人と関わっていても孤独に感じる。SNS上での周囲と自分のヒエラルキーの位置関係が要因だという。動物は群れの中でボス的存在の個体が一番セロトニン量が高く、人間でも同じで組織の集団の中で古株的な存在の人が一番高い。そしてその集団の中の地位を失うとセロトニン量が下がりうつ気味の症状になるという。これは新しくボス的存在になった個体へ影響を与えにくくするための自然の摂理からくるもの。

現代ではSNS内でそのヒエラルキーが作られ、他人と比べることで日々自分の劣等感にさいなまれる。現実で人に合うことができる数とSNS上で無数の人と比較するのは母数が違うため、たいていの場合自分がヒエラルキーの下の方になってします。集団の地位の下の方になってしまい、セロトニン量は上がらないということになるか。

常にSNS上で自分と他人を比べることで、自分より上回っている人の投稿により日々自身を失ってしまう。特に女子で顕著。

他人を理解するために、他人の行動を見た時自分も同じように感じる感覚に関係しているのがミラーニューロンという神経細胞。この神経細胞は人と実際に合う時にもっとも活性化され、画面越しに合っている場合はほとんど反応しないという。このデジタルライフの中で他人に対する共感力が失われている恐れがある。特に心の理論が未完成なティーンエイジャーは気をつけなければならない。

スマホに集まる注意力がマーケティングに利用されている。SNS上での投稿やいいねをつけた行動はターゲティングされその人が関心を持っていると思われる広告が打ち出される。アプリはより多く使ってもらうように様々な工夫をしてより長い時間留められるように日々改良を加えられる。このようなテクノロジーに従って生きていくのか、支配されるのはいやだから使わないようにするのかは自分が決めることができる。人間の心の脆弱性を利用して開発されたSNSやスマホアプリは開発した本人達でさえ日々後悔の念を示さずにはいられない。

人間は無意識のレベルで自分と違う人に対して反応するメカニズムが内蔵されている。古来より人同士が争い覇権を争ってきたためだ。この内蔵されたメカニズムを利用してフェイクニュースが拡散される。紛争や脅威に関するニュースがその信ぴょう性如何に関わらず人々が関心を持って見るため、注目されているニュースとして拡散していく。しかも媒体側はそのニュースの正確性に関しては責任を持っていない。

SNSする時間を完全に止めなくても、制限するだけでも、うつや不安解消の効果はある。一時的に止められたり完全に止められるならその効果は高くなるという。ストレスが減り人と実際に合う回数も増えたという。

6章の感想

この章はSNSの弊害をいくつかの事象とその根幹にある人間が古来より持っている性質と共に説明されている。

事象が複数あるので、節ごとに同じ事象を説明しているのか、違う事象なのか分けて読むとよかった。

  • 人間は集団活動をするために周囲の情報を得る必要があり噂話をする必要があった。それと同時に自分のことを話し、周囲からのフィードバックにより行動を改善する必要があった
  • SNSはそれら人間に内蔵されている性質を巧みに利用してユーザー数を伸ばした
  • SNSを利用していると、人と比べ自信を失いストレスを感じてしまう
  • 画面越しでは実際に人と会うよりミラーニューロンの働き活性化せず、人への共感力、感受性が失われていく。心の理論が未完成な若いうちにそれらが獲得できなくなると危惧される。
  • スマホはどんどん自分達の興味をあつめるように進化していく
  • どのようなデバイスを求めるかは自分で決められる。テクノロジーに支配されてはいけない。
  • フェイクニュースが広まる理由
  • ストレスフルになる、自信を失う、感受性が無くなる、フェイクニュースが広まる、といった負の面があるSNSを見ない(デトックス)時間を作り、ストレス軽減、実際に人と合うことを行ってみてはどうか

対面でないコミュニケーションには 自己検閲が手薄になり 多くを語ったしまうことにもコラムで触れられていた。相手の表情からのフィードバックがないためという。これはいい面もあれば悪い面もある。目安箱みたいに自分の意見を気にせず投げ込むことができる面もあるだろう。

スマホやSNSでの広告がマーケティングに利用されるが、本当に自分が気にいるかどうかの判断があいまいになっているような気がした。すごい宣伝がおおいから、みんながすすめるからというのも購入の判断になるが、本当に自分に合っているかどうか適切に判断できるのは実際に見て感じてからの方がよいと思った。

人間の本質を背景にしてスマホの負の側面を説明されると、ロジカルな人やうんちく好きな人には受け入れられそうと思った。

7章

スマホやSNSが子供に与える影響を説明した章

子供のうちは脳の我慢する領域が発達していない。依存症へのリスクが高くなるという理由でアルコールは子供に対して禁止されているが、スマホも禁止するべきではないか。

タブレットで本やパズルゲームの代替を行うアプリがあるが、子供には向かない。大人であれば本物のパズルなどを体験したことがあるからイメージできるが、子供にとって本物で体験できるであろうそのものの形や材質の感覚、指の能力を身につけることができなくなる。

タブレットよりも実際の紙とペンで学ぶ方が学習能力が高いことがわかっている。

マシュマロテストでみられる、長期間我慢して何かを続けて大きな成果を手に入れることが難しくなる。

若者のスマホによる精神失調はニワトリが先か卵が先かという問題は、長期期間の調査の結果、スマホが原因であるということがわかってきている。

スマホが学習に影響を与えるのはあきらかだが、人によってはほとんど影響を受けない人もいる。影響には個人差がある。

7章の感想

筆者も書いていたが、自分が子供の頃にまだスマホがなくて良かったと思った。子供に与える依存性が他のテレビやゲームに比べてものすごいもの。子供の時期はいろいろなことを学ぶ貴重な時間なので、その時間がスマホに取られてしまうのは本当にもったいないことだと思った。

一律にスマホが悪だと決めつけるのは良くなく、コントロールできる一部の子供には有益に働く場合があるということ。しかしそれをコントロールできるような子供は少なく大くの子供が依存症にかかりやすく、他の大事なことへの集中力がそがれるということ。

8章

運動がいかに重要か説明している章

第一に運動は衝動を抑えられる。ネット社会で膨大な情報の誘惑があるが、その誘惑への衝動を抑える効果が運動にはあるらしい。

1日 5分~6分の運動でも 効果はある。集中力に効果があり、ADHDの症状が見られる子に特に高い効果が見られた。

運動することで集中力が高まるのは、狩猟民族だったころの狩りで運動時に集中力を高めるための性質から来ているという。我々の祖先は生きるか死ぬかの瞬間に集中力を最大限に高める必要があった。現代人は狩猟をすることはあまり無いが、日々仕事や勉強を行うためのライフハックとして運動を利用することは効果的。

ストレスや不安への効果も高い。サバンナ時代の危険な状態を、体のコンディションが良ければ素早く回避できたことに由来するという。

運動することで高い運動能力を維持できていれば、危険な状態でも慌てず、準備ができているためパニックにならずにすむ。

コンディションが良い人は過剰に、体を守るためにストレスシステムを過剰に作動させる必要がないため、不安の軽減につながる。

ランニング、筋トレ、ヨガ、どんな運動でも効果があり、1週間で45分×3 の運動で、脳に与える効果は最大になるという。それ以上だと体のコンディションは良くなるかもしれないが、脳への影響は限界がくるらしい。

8章の感想

運動は健康にいいということはわかっていたが、進化の過程や生物学的に根拠があり説明されていたので、腑に落ちたし、運動することの意義を再確認できた。

幼少期からスポーツ少年団などでスポーツに親しんでおけてよかった。この点は親に感謝したい。

マッスルメモリーという概念を聞いたことがあるが、昔やったことのある運動や筋力トレーニングを体が覚えていて、久しぶりにその運動をした時、初めてその運動した場合に比べて効果は高いという。大人になってから運動を始めて、ハマって習慣になっているという人をテレビなどで聞いたことがあるが、どれくらいの人が大人になってから運動に親しめるのだろう。運動も習慣だと思うので、幼い頃から運動に親しんでおくのは大切だと思う。大人になってからその習慣をつけるのは難しい気がする。

運動が脳と健康に良いからと言って続けられるかどうかは、その効果を感じられるかどうかも大事だが、第一に楽しめるかどうかが重要だと思う。その面では昨今のニンテンドースイッチのリングフィットアドベンチャーやフィットボクシングは運動を楽しく続けられるようにゲームに取り組んでいてニーズをキャッチしていると思った。

昔の狩猟採集民族の人々は1日1万4千歩~8千歩歩いていたらしいが、現代人は5千歩にも満たないらしい。確かに運動したという日でも7千歩いくかどうかだ。1万歩でさえ届きそうにない。

9章

読書時間や運動量が減ったことで現代人は頭が悪くなっている。

ロンドンのタクシー運転手を例に脳は使うと活性化して成長し、使わないと衰退するということ。そこから本来脳が行うべき仕事をスマホやコンピュータに外部委託してしまうとそれらの脳の能力が衰退してしまう恐れがある。

今までの技術確信で鉄道や電話が発明されてきたが、それらと現代のスマホが決定的に違う点はその使う時間量だ。

一日7時間も鉄道に乗ることは少ないが、スマホはそれくらい使っている。

印刷技術の発明により本などの出版物により、作者の思考やその本の世界に集中することができるようになった。

一方で、インターネットはこのように深い集中力へいざなうことはない。表面を次から次へと情報をかすめとっていくだけだ。

18世紀の産業革命や農業の発達で、世界の大部分で飢餓が無くなった。一方で肥満による死亡数が増加した。現在では餓死する人よりも食べ過ぎで死亡する人の方が多い。

これと同じことがデジタル革命でも起こる可能性はある。メリットにもデメリットにもなりうる諸刃の剣だ。

9章の感想

ロンドンのタクシー運転手の例で脳の 可塑性 があることを説明しているのは、脳が物理的にも成長するという点から筋トレのように鍛えれば成長するというのは希望があり興味深いと思った。

現代人が苦しんでいる肥満などの生活習慣病は、生活が昔に比べて良くなったことによるデメリットの影響をモロに受けている結果なのだと思った。

18世紀以降の産業革命のデメリットの影響の結果が生活習慣病だとすると、
近年のネット、デジタル革命がもたらすデメリットの影響はやはり、うつなどの精神失調ということになるだろうか。

また、移動手段の発達により自らの足で目的地に移動することも少なくなってきている点で運動不足、AIの発達で自分の頭で考える思考力の低下、他人と実際に会う機会が減りコミュニケーション能力の低下なども挙げられそうだ。

便利な社会の反面、そのデメリットに注意して扱っていく必要があると感じた。

10章

まとめとアドバイスが記載されている。今までの内容の簡略化とまとめ。

人間は今でも狩猟採集民時代の脳を持っていて、デジタル社会にはまだ適合できていないことを知っていることは重要。

人間の持つ基本的な脳や神経系の性能を知っていることはデジタル社会が与えるデメリットを知る上で役立つ。

それらがわかっていれば、まとめられているいくつかのアドバイスにも自分で気づくことができると思った。

目的の振り返り

最初に上げた本書を読む目的を振り返ってみることにする。

  • スマホの代替としてオススメのものは何か?

アナログな紙とペン?本による読書?代わりに何を持ってして現代社会を生きて行けばいいのか?

PCやスマホのスクリーンを用いてタイピングを行うより紙とペンによるメリットは確かに存在するし、場合によって使い分けることが大事だと思った。

紙とペンを用いてメモを取ることで、タイピングより記載するスピードが遅いため、一回自分の頭の中で内容を反芻して重要なことをまとめて書く必要があり、それが理解へつながるということ。

スマホの通知やメールにわずらわされることなく、集中できることが挙げられる。

個人的な気づきだが、文字を書くことによってタイピングに慣れている場合は、新鮮さがあると思う。漢字を忘れていたりするがそれを思い出しながら書くのも脳に良いような気がする。タブレットや電子書籍リーダーより実際の本の方が理解が良いらしい。実際の書籍の方が紙の質感が良かったり、パラパラと紙をめくれたり、スワイプすることでは味わえない感触があるのも良いと思う。

  • 一般論として現代社会ではスマホなしでは生きていけないので、うまい付き合い方はあるか

スマホをひんぱんにチェックすることで集中力が途切れることを避けたい。

時間を確認する時にスマホを見ることを避けるため、腕時計をつけるのはいい案だと思う。目覚まし時計もそう。

スマホのアプリは便利だが、なんでもかんでもスマホのアプリで代替するのは良くないと思った。わざわざアプリでインストールして使う必要のないものはPCでブラウズするようにすることで、頻繁にスマホをチェックしないで良くなる。

最低限のアプリをスマホに入れて、例えば読書やメモなどアナログで代替可能でアナログの方がメリットがあることは、スマホで行わないようにしたい。

  • 自分としてはスマホアプリ開発を生業としているので、その見地からどういうスマホへの関わり方ができそうか。アプリとしてどのようにスマホ脳を利用して仕事ができそうか

スマホアプリの機能で重宝される通知があるが、ユーザーの注意を引いて集中力を奪う機能となる。便利なようで、ユーザーにしてみればキャンペーンの通知などはうっとうしいだろう。そういう通知のチャンネルをちゃんと分類してユーザーが必要な通知を受け取れるよう設定を持たせるべきだと思った。

通知が適切に設定できないアプリはアンインストールされやすいかもしれない。またデフォルトの通知設定もうっとうしくない初期値を設定しておきたい。

スマホに集中しすぎるのは良くないとわかった上で、アプリをいかにして使ってもらうかはやはり、UI/UXを工夫してユーザー体験が良いものを作ることが重要と思う。

起動や処理のパフォーマンスも速ければそれだけ使っている時間を短くできるだろう。目的の機能に素早くアクセスできる直感的なインターフェースを目指したい。

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